障害年金の受給要件
障害年金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
その中でも特に重要な 3つの要件 について説明します。
初診日要件
障害の原因となる病気やケガについて、国民年金・厚生年金・共済年金のいずれかに加入していた期間中に、医師や歯科医師の診察を受けていることが必要です。
この最初の診察日を「初診日」と呼び、障害年金の受給資格を判断する重要な基準となります。健康診断で異常が見つかった日や誤診を受けた日が、初診日とみなされる場合もあるため、注意が必要です。
また、未成年のころからの病気やケガが原因で障害状態になった場合は、20歳を迎えてから障害年金の請求が可能です。
さらに、60歳から64歳までの間に初診日がある場合は、65歳を超えても障害年金の申請ができます。
保険料納付の条件
この保険料納付要件が満たされないと、一生この病気やケガを原因とする障害年金はもらえません。
初診日の前日に、その初診日のある月の前々月までの期間の3分の2以上が、次のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。
- 保険料を納めた期間(会社員や公務員の配偶者だった期間も含む)
- 保険料を免除されていた期間(全部免除、一部免除)
- 保険料納付猶予期間(学生納付猶予など)
- 合算対象期間(いわゆるカラ期間)
20歳以降初診日の前々月までの被保険者であった期間のうち、3分の1を超える期間の保険料が未納でなければ大丈夫です。
実際に保険料を納めていた期間だけでなく、正式に保険料が免除されていた期間も、納めていたものとして扱われます。
上記の要件には当てはまらなくても、令和8年3月31日までに初診日がある場合は、初診日の前日に、その前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすことができます。
20歳前に障害の状態になった場合
被保険者でない20歳前の傷病により障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません。
(20歳前は保険料納付義務がないからです)
障害認定日の要件
障害年金を受け取るためには、障害認定日に一定の障害状態であることが必要です。障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日、またはそれ以前に症状が固定し、治療の効果が期待できなくなった日を指します。
例外
さ以下のようなケースでは、通常の障害認定日よりも早く障害が確定されることがあります。
・咽頭全摘出・・・摘出した日
・在宅酸素療法・・・常時使用を開始した日
・人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日
・心臓ペースメーカー、人工弁、CRT、心臓移植、人工心臓を装着(移植)した場合・・・装着(移植)した日
・人工肛門造設、尿路変更術・・・造設日(手術日)から起算して6か月経過した日
・新膀胱・・・造設した日
・遷延性植物状態・・状態に至った日から3か月を経過した日
・人工骨頭、人工関節を挿入置換した場合・・・挿入置換した日
・手足の切断の場合・・・切断された日
・脳梗塞、脳出血による肢体障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過後の医師が症状固定と判断した日
この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌月から年金が支給されます。
これを、障害認定日請求と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。
事後重傷請求
障害認定日の時点では障害等級に該当しなかった場合でも、65歳の誕生日の前々日までに症状が悪化し、障害状態になれば、年金の受給が可能になります。この請求が認められると、申請した翌月から年金の支給が始まります。
ただし、過去に障害状態に該当していたとしても、請求が遅れた場合にさかのぼって受給することはできません。
障害年金のご相談は当事務所まで
障害年金の制度は複雑で、受給資格や請求のタイミングによって支給額が異なることがあります。ご自身の状況が障害年金の対象になるかどうか、またどのくらいの年金が受給できるのかを詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。